中国の花粉症の実態

中国生活

日本における花粉症の有病率は、近年増加の一途をたどっている。関係学会が約2万人を対象に実施した調査によると、1998年時点で花粉症全体の有病率は19.6%、スギ花粉症は16.2%であった。2008年にはそれぞれ29.8%、26.5%に上昇し、さらに2019年には42.5%、38.8%に達している。およそ10年ごとに10ポイント前後の増加が見られ、着実に患者数が増加していることがわかる。
(出典:内閣官房 花粉症対策に関する資料

また、2016年に東京都が行った調査では、都民の48.8%が花粉症であると回答している。
(出典:エスエス製薬 花粉症情報

これらのデータから、日本では花粉症が非常に一般的なアレルギー疾患となっており、その有病率は今後も増加傾向にあると考えられる。


中国にも花粉症はあるのか?

答えは――もちろん、ある!

中国に駐在、留学、出張する人は、本当に気をつけてほしい。日本ですでに花粉症を発症している人は、中国でも再発、あるいは悪化する可能性が高い。ただし、中国では都市によって植生が大きく異なるため、アレルゲンの種類や飛散時期が地域ごとに異なる点には留意が必要である。

さらに、黄砂やPM2.5といった中国特有のアレルゲンによる鼻炎も報告されているが、今回は「花粉」に焦点を当てて紹介する。


中国主要都市の花粉アレルゲンと飛散時期

(※日本でもよく見られるアレルゲンは太字で記載)

北京

  • 春季(3月初旬~4月):ニレ属、ヒノキ科、ポプラ属の花粉が主なアレルゲン。特に3月2日以降に濃度が高まり、アレルギー症状を訴える患者が増加する。
    (出典:北京市国際版ポータルサイト、Starter Kit ほか)
  • 秋季(8月~10月)ヨモギブタクサなどの雑草花粉が主。粒子が小さく、風に乗って遠方まで飛散する。
    (出典:北京日本人会、Starter Kit)

上海

  • 春季:樹木の花粉が主なアレルゲンとされているが、具体的な種類や飛散量に関する詳細なデータは少ない。アレルギー疾患の有病率は約3.4%〜6.7%と報告されている。
    (出典:J-STAGE)

広州(広東省)

さすが花の都だけあって、花の花粉は多い。

  • 春季(2月~4月)カバノキ科イネ科の花粉が主なアレルゲン。春季に多く飛散し、アレルギー症状を引き起こす可能性がある。
  • 秋季(9月~11月)ブタクサヨモギなどの雑草花粉が飛散。これらもアレルギーの原因となる。

大連(遼寧省)

  • 春季(3月~5月)カバノキ科マツ科の花粉が主なアレルゲン。飛散時期は春季で、日本のスギ花粉シーズンに似ている。
  • 秋季(8月~10月)ブタクサヨモギなどの雑草花粉が多く、アレルギー症状を引き起こす原因となる。

中国の花粉飛散状況がわかるサイト

  • 中国気象局の花粉过敏指数(主要都市)花粉指数 (weather.com.cn) ここでは過去1週間と、明日の予報が分かる。明日の予報は、毎朝更新のようで、早朝には確認できないことがある。
  • 広州市人民政府発票の広州花粉指数(広州のみ)花粉浓度指数 ここでは、現在の花粉飛散量が細かくわかる。

これらの情報を踏まえ、日本人が中国に滞在・渡航する際は、渡航先の花粉アレルゲン情報を事前に把握しておくことが望ましい。アレルギー薬やマスクの携帯、現地の医療機関の確認など、対策を講じておくことで、快適な滞在を実現できるだろう

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