【IFRS 15 基礎解説】第4回 商品以外の約束をどう扱う? 保証・ポイント・代理店販売

IFRS解説

商品を販売するとき、企業は商品そのもの以外にも約束をしていることがある。

「3年間修理する」「次回使えるポイントを付ける」「他社のサービスを手配する」といった約束だ。

IFRS 15では、何を顧客に提供しているのかによって、売上の金額や計上時期が変わる。

前回の記事はこちら。

保証には2つの性質がある

保証は、名前だけでなく内容を見る。

保証の性質例基本的な扱い
品質を保証するもの約束した仕様を満たさない不具合を修理する通常、IAS 37に基づく引当金を検討する
追加サービスを提供するもの別途購入できる延長保証など別の履行義務として売上を配分する

前者はassurance-type warranty、後者はservice-type warrantyと呼ばれる。

ただし、「無料なら品質保証、有料なら追加サービス」と機械的に決めるものではない。別途購入できるかに加え、保証期間や提供する作業の内容などを確認する。IFRS 15:保証の取扱い

延長保証付きの商品を販売した例

商品と2年間の追加保証を、合計11万円で販売したとする。

単独販売価格は、商品10万円、保証2万円。値引きを特定の履行義務だけに配分する事情はないものとする。

内容計算配分額
商品11万円 × 10/12約9万1,667円
保証11万円 × 2/12約1万8,333円

商品分は支配の移転時に売上にする。

保証分は、保証サービスを提供する期間に応じて売上にする。均等にサービスを提供するなら、2年間に均等配分する。

販売時に11万円すべてを売上にすると、まだ提供していない保証サービスまで計上してしまう。

ポイントは「将来の商品を受け取る権利」になる

商品を買うと、次回の買物で使えるポイントが付くことがある。

そのポイントが、今回の契約を結ばなければ得られない重要な権利(material right)を顧客に与えるなら、別の履行義務として扱う。

つまり、今回の代金の一部は、将来の特典のために受け取っていると考える。

誰でも使える一般的な割引と、今回の購入によって初めて得られる特典は、区別する必要がある。IFRS Foundation:顧客の重要な権利に関する検討資料

ポイント付き販売を数字で考える

1万円の商品を購入すると、自社の商品に使えるポイントが付くとする。

重要な権利に該当し、ポイントの利用見込みなどを考慮した単独販売価格を500円と見積もった場合、1万円を次のように配分する。

内容単独販売価格配分額
商品1万円約9,524円
ポイントの権利500円約476円
合計1万500円1万円

ポイント分を、そのまま額面どおり売上から引くわけではない。単独販売価格の比率で代金を配分する。

商品分は引渡時に売上にするが、ポイント分は契約負債として残す。その後、ポイント利用に伴って商品・サービスを提供したときなどに収益へ振り替える。

失効見込みの扱いにもルールがあり、企業が好きな時期に売上へ戻せるわけではない。

代理店の売上は、代金の全額とは限らない

顧客から10万円を受け取り、提供元へ9万円を払い、自社に1万円が残る取引を考えよう。

売上が10万円か1万円かは、その会社が本人(principal)なのか、代理人(agent)なのかで変わる。

立場提供するもの売上の基本的な表示
本人自社が支配する商品・サービス総額
代理人他社の商品・サービスの手配手数料などの純額

判断の中心は、顧客に渡す前に、対象の商品・サービスを自社が支配しているかどうかだ。

提供に対する主な責任、在庫リスク、価格設定の裁量などが手がかりになる。ただし、1つの要素だけで結論を出すものではない。IFRS Foundation:本人と代理人の判断

同じ利益でも、売上高は変わる

先ほどの例で、他の費用がないとすると、次のようになる。

項目本人の場合代理人の場合
売上10万円1万円
対応する原価9万円―
差額1万円1万円

同じ1万円が残っても、売上高と利益率の見え方は違う。

「代金を自社の口座で受け取った」「会社名に代理店と書いてある」といった事情だけで判断せず、実際に何を約束し、何を支配しているのかを確認する。

保証もポイントも代理店販売も、出発点は同じだ。顧客に何を提供する約束なのかを整理すると、売上として計上する金額とタイミングが見えてくる。

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