【IFRS 3 基礎解説】第3回 100%買わない場合は? NCIと全部・部分のれん

IFRS解説

会社を子会社にするために、必ずしも株式を100%取得する必要はない。

たとえば、A社がB社の株式を80%取得して支配を得た場合、残り20%は別の株主が持っている。

この、親会社に帰属しない持分が、Non-controlling interests(NCI/非支配持分)だ。

ここでは、すべて同じ権利を持つ普通株式を前提に考える。

前回の記事はこちら。

80%取得でも、資産・負債は100%取り込む

連結では、支配している子会社の資産・負債を、原則として100%取り込む。

「80%取得したから、建物も借入金も80%だけ計上する」という処理ではない。

そのうえで、純資産のうち親会社に帰属しない部分を、NCIとして資本の中に区分して表示する。NCIは借入金のような負債ではない。IFRS Foundation:IFRS 10の概要

NCIの測り方には2つある

通常の普通株式のように、清算時に純資産の比例的な取り分を受け取る権利があるNCIは、取得時に次のいずれかで測定できる。

NCIの測定方法のれんへの影響
NCI自体の公正価値で測定するNCIに対応する分も含めた「全部のれん」
識別可能純資産の持分割合で測定する親会社に対応する分だけの「部分のれん」

この選択は、企業結合ごとに行える。ただし、あらゆる種類のNCIに同じ選択肢があるわけではない。IFRS 3 第19項を含むIFRS Foundation資料

同じ買収例で比べてみる

第2回と同じ、識別可能純資産900万円のB社を使う。今回は100%ではなく、80%を取得したと仮定する。

項目金額・割合
取得割合80%
80%分の買収対価960万円
B社全体の識別可能純資産900万円
残り20%のNCIの公正価値230万円

まず、部分のれんの場合、NCIは次の金額となる。

NCI = 900万円 × 20% = 180万円

一方、全部のれんの場合は、NCIの公正価値230万円を使う。

計算項目全部のれん部分のれん
買収対価960万円960万円
加えるNCI230万円180万円
差し引く識別可能純資産△900万円△900万円
のれん290万円240万円

全部のれんと部分のれんの差額50万円は、この例ではNCIに対応するのれんとなる。

部分のれんは、別の計算でも確認できる

部分のれんは、買収対価から、親会社が取得した分の識別可能純資産を差し引いても求められる。

960万円 −(900万円 × 80%)= 240万円

ただし、これはのれんを計算するための式だ。連結財務諸表に取り込む子会社の資産・負債まで、80%になるわけではない。

NCIの公正価値は、買収価格から単純に逆算できない

80%の買収価格が960万円だからといって、残り20%の公正価値が必ず240万円になるとは限らない。

支配を得られる株式には、経営を左右できることへの上乗せ価値、いわゆるControl premium(支配プレミアム)が含まれる場合がある。

このため、支配を得る側の株式と、NCI側の株式で、1株当たりの公正価値が異なることがある。IFRS Foundation:NCIの測定に関する資料

まずは「全部のれんはNCIも公正価値、部分のれんはNCIを純資産の持分割合で計算する」と整理すると、数字を追いやすくなる。

次回の記事はこちら。

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