20代の春、ロンドンで焦っていた
世界がコロナ禍に巻き込まれていた時代、私はロンドンの大学院で修士課程をやっていた。でも、卒業が見えてきても働き口が見つからず、悶々とした日々。
修士論文を書きながら、IndeedやMixB(ロンドンの情報サイト)で「Japanese Engineer」や「Japanese Speaking」と検索しては、応募できそうなところに片っ端から応募していた。
ほぼ新卒状態だったけど、卒業後にGraduate Visaを利用すれば、当時は2年間イギリスで働けると知って、とにかく現地に残って働きたい一心だった。
ただ、現実は厳しかった。
求人はあっても、経験がないとなかなか雇ってもらえない。コロナ禍が直撃していることもあり、大学院の周りの同級生たちも、学部からそのまま修士に進んだ人が多く、みんな苦戦していた。
その間にも、ロンドンの物価は上がっていく。1.5ポンドだった水が1.8、2.0ポンドに。1月には電気代だけで900ポンドを超えた月もあった。収入がゼロだとなかなか笑えない。
日本で実家に住みながら仕事を探すようにはいかず、のんびり職探しをする余裕なんてなかった。
会計士という選択肢に出会う
そんな中で、ふと「会計士」の資格が気になり始めた。
そういえば、求人サイトでも「Japan Desk」や「Japanese Accountant」という求人を何度か見かけていた。
専攻とはまったく違う分野だったけど、数字は好きだし、趣味で投資もやっていた。会計が分かれば、投資にも役立ちそうだ。そんな感じで、少し調べてみることにした。
そこで知ったのが、ICAEWのACAやACCAといった資格だった。
当時調べた範囲では、ACAは会計事務所などで働きながらトレーニングを受けるイメージ。一方、ACCAは勤務先が決まっていなくても、独学で試験勉強を始められる。
仕事が見つかっていない自分には、こちらの方が取りかかりやすそうだった。
大学時代、USCPA(米国公認会計士)の存在は聞いたことがあった。でも、調べた予備校の費用が40万円以上と知って、「そんなにかかるのか」と、そこで調べるのをやめてしまった。
正直、よく知らない資格にそんなお金がかかることを、少し怪しく感じていたところもある。そもそも当時は、会計士の資格にほとんど興味がなかった。
ただ、このときは仕事が見つからず、何かできることを増やしたかった。会計の勉強も、一つの選択肢に見えた。
ACCAの学習スタート
ACCAを勉強すれば、今の状況を少し変えられるかもしれない。
そう思って、修士論文や就職活動の合間にでも、勉強を始めてみることにした。
ACCAにもオンラインスクールはあったけど、当時見た講座は1科目あたり数万円から10万円超。翌月の食費すら気になる自分には、そんな余裕はなかった。
いろいろ調べていく中で見つけたのが、「OpenTuition」という無料の学習サイトだった。
講義も学習用ノートも無料で使える。受験料などは別にかかるけど、少なくとも講座代を払わずに勉強を始められるのは、かなりありがたかった。
イギリスはボランティア精神が根付いている。利用者はインド、東南アジア、アフリカなど、いわゆる途上国が多いようだ。ただ、さすがのイギリスでもここまで無料で開放してくれるんだな、と驚いた。お金に余裕がなかった当時の自分には、本当に助かる存在だった。
ACCAは段階的に学んでいく資格で、最初の3科目は基礎から始まる。学歴などによっては免除もあると知った。
とりあえず、この無料サイトを使ってやってみよう。そんな感じで、独学をスタートした。
ちなみにOpenTuitionは、講義と掲示板がなかなか役に立った。ただ、クイズ系は少し微妙に感じた。このあたりは、いつかちゃんとレビューしてみたい。
最初から会計士になりたかったわけではない。仕事が見つからずに焦って、調べているうちにACCAにたどり着いた。
まさか、その後こんなに長く付き合うことになるとは、このときは思っていなかった。

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