【SBLワンポイント】ポーターのバリューチェーン—どの活動が価値を生むのか

ACCA

「顧客価値を高めるには?」「コストを削減するには?」「業務のどこを改善すべきか?」。

会社の活動に目を向ける設問では、ポーターのバリューチェーン(Value Chain)を思い出そう。

入荷、製造、配送、販売、購入後のサポート。会社の仕事を分解すると、競争力を生んでいる活動と、足を引っ張っている活動が見えてくる。

バリューチェーンとは?

バリューチェーンは、企業の活動を分解し、どこで顧客価値を高め、どこでコストを抑えられるかを考えるモデル。

安くすることだけが目的ではない。品質やサービスを改善し、顧客が「少し高くても買いたい」と感じる理由を作ることも含まれる。Harvard Business School:The Value Chain

活動は、主活動(Primary activities)と、それらを支える支援活動(Support activities)に分かれる。

主活動は「入れる・作る・届ける・売る・支える」

主活動試験で考えたい具体例
Inbound logistics:購買物流原材料の入荷・保管。在庫情報を改善し、欠品や過剰在庫を減らす。
Operations:製造・業務製品を作る、サービスを提供する。作業手順の改善で不良品や待ち時間を減らす。
Outbound logistics:出荷物流梱包・配送。配送ルートや出荷確認を見直し、遅配や誤配送を減らす。
Marketing and sales:販売・マーケティング顧客に価値を伝え、購入につなげる。顧客データを使い、対象に合った提案を行う。
Service:サービス修理や購入後の問い合わせ対応。迅速な対応によって信頼や継続購入につなげる。

まずはこの5つを、商品の流れに沿って覚えるとよい。サービス業なら、Operationsを診療、宿泊サービス、コンサルティングの提供などに置き換えて考える。

支援活動も、競争力を左右する

支援活動試験で考えたい具体例
Firm infrastructure:全般管理経営、財務、法務、計画、管理体制を整える。
Human resource management:人材管理採用、研修、評価制度を通じて、必要な人材とスキルを確保する。
Technology development:技術開発製品・工程・システムを改善し、品質や効率を高める。
Procurement:調達仕入先を選び、価格・品質・納期などの契約条件を交渉する。

分類の基本は、こちらのHarvard Business Schoolの解説でも確認できる。

ここで混同しやすいのが、ProcurementとInbound logistics。

仕入先を選んで条件を交渉するのがProcurement。届いた原材料を受け取り、保管するのがInbound logisticsと考えると分かりやすい。

また、Firm infrastructureは建物や通信設備だけを指す言葉ではない。このモデルでは、経営や財務など、会社全体を支える管理活動を意味する。

どんな設問で使う?

以下は問われ方をイメージするためのオリジナル例文。

Evaluate how improvements to the company’s activities could increase customer value and reduce costs.

会社の活動を改善することで、顧客価値の向上とコスト削減をどのように実現できるか評価せよ。

Recommend how digital technology could improve the company’s value chain.

デジタル技術によって会社のバリューチェーンをどのように改善できるか提案せよ。

customer value、competitive advantage、cost reduction、operational improvementsなどが手掛かりになる。

ただし、キーワードが出たら必ず使うという意味ではない。「会社のどの活動を、どう改善するか」を考える必要があるときに使いたい。

答案では「活動同士のつながり」まで書く

例えば、在庫データが更新されず、在庫のない商品を販売してキャンセルが発生している会社を考える。

ここで「ITを導入すれば効率が上がる」だけでは、説明が広すぎる。

Linking the website to real-time inventory data would prevent customers from ordering unavailable products, reducing cancellations and improving customer trust.

ウェブサイトとリアルタイムの在庫データを連携させれば、在庫のない商品の注文を防ぎ、キャンセルを減らして顧客の信頼を高められる。

これは、Technology developmentによって在庫管理と販売をつなぐ提案になる。

「どの活動を変えるか → 何が改善するか → 顧客や会社にどんな効果があるか」の順番で書くと、答案が具体的になる。

ポーターの他のモデルと混同しない

モデル主に考えること
Five Forces業界の競争環境。競合、買い手、売り手、新規参入、代替品。
Value Chain企業内部の活動。どこで価値を生み、コストが発生するか。
Generic strategies:基本戦略コストリーダーシップ、差別化、集中という競争の方向性。

バリューチェーンの9項目を、毎回すべて答案に書く必要はない。問題文に配送トラブルがあれば配送を、品質問題があれば製造や調達を掘り下げる。

分類名を並べるより、その会社の問題と改善効果を説明することに時間を使おう。

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