【IAS 36 解説第2回】CGUとは? のれんの減損を計算する単位と順番

IFRS解説

のれんだけを取り出して、「こののれんは来年いくら稼ぐだろう」と考えるのは難しい。

のれんの価値は、買収した事業や、買収によって相乗効果を得る事業の中で発揮されるからだ。

そこで登場するのが、CGUという考え方になる。

CGUは「お金を生み出す最小のまとまり」

CGUは、Cash-generating unitの略で、日本語では「資金生成単位」と呼ばれる。

他の資産や資産グループから、おおむね独立したキャッシュ・インフローを生み出す、識別可能な最小の資産グループを意味する。

例えば、店舗内のレジや陳列棚だけでは、独立して売上を生み出せない。しかし、店舗全体なら、顧客から収入を得られる。

この場合、その店舗がCGUになる可能性がある。

ただし、「1店舗=必ず1CGU」「子会社1社=必ず1CGU」ではない。実際にキャッシュ・インフローがどこまで独立しているかで判断する。

のれんを、恩恵を受けるCGUに配分する

買収による相乗効果は、買収した会社だけに生じるとは限らない。

例えば、買収先の技術を既存事業でも使えるようになるなら、既存事業も買収の恩恵を受ける。

のれんは、そのような恩恵を受けるCGU(またはCGUのグループ)に配分する。管理上の監視単位も考慮するが、自由に大きな単位へまとめてよいわけではなく、IFRS 8の集約前の事業セグメントを超えないという上限もある。

会社全体にまとめてしまうと、不調な事業を好調な事業が覆い隠すことがあるため、評価する単位が重要になる。

減損テストでは、のれんを含めて比較する

第1回の例を続けよう。あるCGUの帳簿価額が、次のようになっているとする。

計算を分かりやすくするため、非支配持分、負債、税効果は扱わない。

資産帳簿価額(単位:万円)
のれん200
設備600
建物400
合計1,200

このCGUの回収可能価額が950なら、減損損失は250になる。

帳簿価額1,200 − 回収可能価額950 = 減損損失250

重要なのは、設備と建物だけの1,000ではなく、配分されたのれん200も含めて比較することだ。

なお、個別資産に減損の兆候があり、個別にテストする必要がある場合は、先にその処理を行ってから、のれんを含むCGUをテストする。

のれんを超えた損失は、他の資産へ

CGUの減損損失は、次の順に配分する。

  1. まず、のれんを減らす。
  2. それでも残る損失を、原則として他の資産の帳簿価額に比例して配分する。

今回の減損損失は250、のれんは200なので、のれんを全額減額しても50が残る。

残り50を、設備600と建物400の比率で配分する。

設備:50 × 600 ÷ 1,000 = 30
建物:50 × 400 ÷ 1,000 = 20

資産減損前減損損失減損後
のれん2002000
設備60030570
建物40020380
合計1,200250950

のれんを含むすべての資産へ、最初から比例配分するわけではない。「のれんが先」という順番を押さえよう。

他の資産は、どこまでも減らしてよいわけではない

上の例では、設備と建物の減額に制約がないと仮定した。

実際には、配分によって個別資産の帳簿価額を、次のうち最も高い金額より低くすることはできない。

  • 処分コスト控除後の公正価値:測定できる場合
  • 使用価値:算定できる場合
  • ゼロ

例えば、設備への配分額が30でも、その設備は下限まで10しか減らせない場合がある。その場合、配分できない20は、他の資産に再配分することになる。

CGUの定義、のれんの配分、減損の順序と下限は、IAS 36の第6項、第80項、第97~98項、第104~105項で規定されている。IAS 36に対応するAASB 136の公開本文

減損計算は、まずCGU全体の損失を求め、その後に資産へ配分する。この2段階を分けて考えると整理しやすい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました