【IFRS 13 基礎解説第3回】レベル1・2・3とは?公正価値の根拠と注記を読む

IFRS解説

同じ「公正価値1億円」でも、市場価格をそのまま使った数字と、将来予測から見積もった数字では、根拠が異なる。

その違いを理解する手掛かりが、Fair value hierarchy(公正価値ヒエラルキー)だ。

IFRS 13では、評価に使うInputs(インプット)を3つのレベルに分ける。

前回の記事はこちら。

インプットとは何か

インプットは、評価に使う価格、金利、成長率、将来キャッシュフローなどの前提や情報を指す。

例えば、DCF法が「計算方法」なら、将来の入金額や割引率が「インプット」に当たる。

ここで大切なのは、レベル1〜3は、評価方法そのものの分類ではないということだ。

レベル1・2・3の違い

レベル使う情報具体例
Level 1測定日にアクセスできる活発な市場における、同一の資産・負債の無調整の相場価格活発に取引される上場株式の市場価格を、そのまま使う。
Level 2レベル1以外の、直接または間接に観察できる情報類似する債券の価格や、市場で観察できる金利などを使う。
Level 3観察できない情報市場参加者の考え方を反映して見積もった、重要な将来キャッシュフローなどを使う。

レベル1が最も優先される。同一の資産の価格が活発な市場で得られるなら、通常はそれを使う。

市場の情報が不足している場合には、利用可能な情報を基に見積もる必要がある。ACCA:公正価値ヒエラルキー

レベル3は「間違った数字」ではない

レベル3は、重要なインプットを市場で直接確認できないことを示す。

それだけで、評価が不適切という意味ではない。非上場株式などでは、将来予測を使った評価が必要になることもある。

ただし、経営陣が好きな数字を使ってよいわけではない。市場参加者が採用するであろう前提を、利用可能な情報から検討する。

「レベル3だから信用できない」と決めつけるより、「どの前提を使い、その前提が変わると金額がどう動くか」を読むことが重要だ。

複数のレベルの情報を使ったら?

評価全体は、その測定に重要なインプットのうち、最も低いレベルに分類する。

例えば、割引率には市場で観察できる情報を使っていても、評価に重要な将来キャッシュフローが観察できない見積りなら、全体がレベル3となり得る。

反対に、観察できない情報が一つ含まれているだけで、必ずレベル3になるわけではない。その情報が評価全体にとって重要かを判断する。

同じDCF法でも、使うインプットによってレベル2にもレベル3にもなり得る。

注記では、何を読む?

公正価値の金額だけでなく、その作り方を確認したい。

注記で見る情報分かること
レベル1・2・3の分類市場で観察できる情報に、どの程度基づいているか。
評価技法市場比較やDCFなど、どの方法を使ったか。
重要なインプット成長率、割引率など、何が金額を左右しているか。
レベル間の振替と理由市場環境や利用可能な情報に、どんな変化があったか。
レベル3の期首から期末への増減購入・売却・評価損益などで、残高がどう変わったか。
感応度に関する説明前提が変わると、評価額がどの程度変わり得るか。

必要な開示の範囲は、レベルや、継続的に公正価値で測定する項目かどうかなどによって異なる。例えば、継続的なレベル3測定では、残高の増減や、重要な観察不能インプットの変化に対する感応度の説明が重視される。IFRS財団:レベル3の感応度開示、レベル3の開示要求に関する資料

感応度は「前提が少し変わったら」を見る

単純な例として、1年後に110万円を受け取るキャッシュフローを考える。

割引率現在価値
8%約101.85万円
10%100万円
12%約98.21万円

将来受け取る金額が同じでも、割引率が変われば現在価値は変わる。

実際の評価では、収益の成長率、利益率、空室率なども金額を左右する。感応度の説明があれば、利用者は評価額がどの前提に依存しているかを理解しやすい。

公正価値を見るときは、金額だけでなく、「どの市場情報や見積りから作られた数字か」まで確認しよう。

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