ACCAで年収はどれくらい上がる? 国内のUSCPA調査と海外の給与データから考える

ACCA

ACCAの取得には、時間も費用もかかる。だからこそ、「取得後にどれくらい年収が上がるのか」は気になるところだ。

ACCAを取得し、英語と実務経験を活かして、より給与水準の高い仕事を目指す道はある。ただし、資格取得による昇給と、転職・昇進による年収アップは分けて考えたい。

今回は、国内ではUSCPA合格者の調査と経理・財務職の給与相場、海外ではACCAを含む会計資格の取得段階別データを参考に、年収への影響を考える。

掲載情報は2026年10月時点。金額は原則として税引前で、海外給与の円換算には、比較しやすいよう1ポンド=200円、1ユーロ=170円という仮定を使う。現在の為替レートを示すものではない。

1.国内の参考データ:USCPA合格後、約7割が年収増加

国内の参考になるのが、USCPA予備校アビタスの卒業生調査だ。

2021年にUSCPAに合格した卒業生を対象に、2024年12月〜2025年1月に調査を行い、45名が回答している。合格から、おおむね3年後の状況を調べたものだ。

調査で報告された年収の変化回答割合
合格後に年収が増加した71.1%
300万円以上増加した24.4%
年収が変わらなかった28.9%

300万円以上増加した人は、年収が増加した人の内数となる。アビタス:USCPA合格者のキャリア実態調査

国際会計資格の取得後に、大きく年収を伸ばした人がいることは、前向きな材料だ。

ただし、この調査は予備校卒業生45名の回答であり、USCPA保有者全体の平均ではない。また、約3年間の転職、昇進、経験の積み上げも含まれる。国内勤務者だけの結果とも確認できないため、日本国内の平均昇給率としては使わない。

ACCAについても、「同じ割合の人が同じ金額だけ上がる」とは言えない。参考にしたいのは、資格を取得した後、仕事や役割を変えることで年収を伸ばす道がある、という点だ。

2.日本では、どのくらいの給与の仕事を目指せる?

資格の平均年収だけでなく、取得後に目指す職種の給与を見ると、目標を立てやすくなる。

Robert Waltersの2026年給与調査では、東日本の経理・財務職について、次の年間基本給が示されている。

職種年間基本給の参考レンジ
Financial Accountant800万〜1,000万円
Senior Financial Accountant800万〜1,100万円
Financial Analyst800万〜1,200万円
Financial Accounting Manager1,000万〜1,500万円

賞与・福利厚生などは原則として含まない。同社が扱う採用市場の目安であり、日本の経理職全体や、ACCA取得者の平均年収ではない。Robert Walters:Salary Survey 2026 Japan、12ページ

この水準の仕事を目指すには、資格に加えて、担当業務に合う実務経験が必要になる。

たとえば、決算を自分で進められること、英語で海外本社に説明できること、予算や業績を分析できることなどだ。

ACCAは、こうした仕事に必要な知識を整え、自分の経験に専門性の裏付けを加えるために使いたい。USCPAが必須の求人に、そのまま代替資格として応募できるとは限らないため、募集要件の確認も必要だ。

3.国内での年収アップを、3つのケースで試算する

ここでは、現在の年収が600万円の人を例にする。

以下は統計から算出した予測ではなく、転職・昇進の結果を考えるためのモデルケースだ。比較する年収には、前後で同じ範囲の賞与などを含めるものとする。

ケース年収の変化増加額・増加率
現職で昇給する600万→630万円+30万円/5%
実務経験を活かして転職する600万→720万円+120万円/20%
数年かけて、より専門性や責任の高い職種へ進む600万→840万円+240万円/40%

もちろん、資格を取得しても、仕事内容や給与等級が変わらなければ、年収が据え置きになる場合もある。

逆に、現在の給与が自分の経験に対して低い場合や、英語・IFRSを使う仕事へ移る場合には、転職による変化が大きくなる可能性がある。

ただし、20〜40%アップを通常の転職相場とは考えないことが大切だ。Robert Waltersの同じ調査でも、東日本では転職時の昇給が5%未満にとどまるケースが多いと説明されている。大きな上昇には、役割や勤務先の給与水準が変わることが重要になる。Robert Walters:2026年の採用市場動向、11ページ

目標を立てるなら、「合格したら200万円上がる」ではなく、「この経験を積み、この職種へ進むことで200万円アップを目指す」と考える方が、行動につなげやすい。

4.海外では、資格取得の段階によって給与水準が変わる

海外について、今回確認した公開資料では、ACCA取得者を同じ条件で追跡した、取得前後の平均昇給率は確認できなかった。

一方で、資格の学習途中と取得後を分けた給与データはある。

英国の会計・財務系採用会社Countedが公表した2026年第1四半期の資料では、次の水準が示されている。

資格取得の段階年間給与の参考水準日本円換算
Part-qualified:資格取得途中£35,000〜£40,000約700万〜800万円
Finalist:試験の最終段階£44,000〜£49,000約880万〜980万円
Newly qualified:資格取得直後£47,000〜£55,000約940万〜1,100万円

ACCA・CIMAなどを含む同社の採用市場の目安で、ACCAだけの全国平均ではない。学習途中の給与についても、実務経験や試験の進捗によって異なるとされている。Counted:2026年第1四半期の給与調査、同調査の詳細資料

ここから分かるのは、資格取得の進捗が、採用時の給与区分と結びついている市場があるということだ。

たとえば、年収£40,000から、資格取得と転職を経て£50,000になったと仮定すると、増加率は25%。この記事の換算では、800万円から1,000万円への変化となる。

ただし、これは給与レンジを使った計算例だ。同じ人が必ず25%昇給するという調査結果ではなく、その間に増えた経験や責任も含めて考える必要がある。

5.アイルランドでも、資格取得後の給与水準が示されている

ACCAの会員向け媒体「AB magazine」の2025年の記事では、アイルランドの資格取得直後の会計人材について、年収€55,000以上が目安として紹介されている。

1ユーロ=170円で換算すると、約935万円だ。

同記事では、資格取得後に転職する人と、同じ職場に残る人では、昇給の可能性が異なるという採用担当者の見方も紹介されている。ACCA AB magazine:Job opportunities expand

これはACCA保有者だけの統計ではないが、資格取得をきっかけに、採用市場で自分の評価を確認する意味があることを示している。

ただし、海外給与を円換算した数字だけで、日本より生活が豊かになるとは判断できない。税金、家賃、生活費、年金負担などを差し引いて、手元にどれだけ残るかを見ることが大切だ。

6.時給や日給にも、専門性による違いが出る

年収だけでなく、短時間勤務や有期契約の報酬も考えておきたい。

資格と実務経験があれば、経理補助だけでなく、月次決算、財務報告、連結対応など、専門性を評価される仕事を探す道がある。

ただし、「ACCA取得で時給が一律に何円上がる」とは言えない。担当業務、経験、勤務地、雇用形態によって変わるからだ。

計算例として、週20時間、年間48週間働く場合、時給が1,000円高い仕事に就ければ、年間の額面収入には96万円の差が出る。

1,000円 × 20時間 × 48週間 = 96万円

この1,000円は、実際のACCA資格手当や昇給額を示す数字ではない。専門職の報酬差が、限られた勤務時間でも大きな影響を持ち得ることを示した例だ。

留学やワーホリ中に働く場合も、資格に加えて実務経験を持つことは、仕事の選択肢を広げる材料になる。実際に応募できる仕事や勤務時間は、それぞれのビザ条件に従う。

7.年収アップにつなげるために、勉強と並行してやっておきたいこと

まず、目指す仕事の求人を見て、必要な経験を確認することをおすすめする。

目指す方向積んでおきたい経験
外資系・グローバル企業の経理月次・年次決算、英語での報告、監査対応
IFRS・連結の専門職連結決算、基準差異の検討、会計処理の説明
FP&A予算、予測、予実分析、事業部門への提案
マネージャーチーム管理、業務改善、部門間の調整

そのうえで、現職で資格取得がどのように評価されるかも確認しておきたい。資格手当があるのか、昇格要件になるのか、担当業務を広げられるのかによって、取得後の動き方が変わる。

国内では、USCPA合格後に年収を伸ばした人の調査がある。海外では、ACCAを含む資格取得段階ごとに、給与水準が分かれる採用市場がある。

この情報を、自分の昇給を保証する数字としてではなく、次に目指す仕事を決める材料として使いたい。ACCAの学習と実務経験を組み合わせ、取得後に応募できる仕事を増やしていくことが、年収アップへの具体的な進め方になる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました