IFRS 18は2027年1月1日以後に開始する事業年度から適用される。ただし、SBRでは2025年9月からすでに試験範囲に入っている。
実務での適用はこれからでも、試験対策はもう必要だ。ACCA公式解説
まず押さえたいのは、MPMと損益の表示区分。この2つは、英語でどう書くかまで準備しておくことをおすすめする。
1.MPMは「元の利益から、何を調整したか」が大切
MPM(Management-defined Performance Measures)は、経営者が定義した業績指標のこと。「調整後営業利益」など、会社が独自に示す利益が、条件を満たすと該当する。
判断のポイントは、次の4つ。
- 収益・費用の小計(subtotal)である
- 財務諸表外の公表資料で使用している
- 会社全体の業績について、経営者の見方を伝えている
- IFRSが指定する小計などには該当しない
そのため、gearingのような比率はMPMではない。会社が重視する指標が、すべてMPMになるわけではない。IFRS Foundation:主要用語
そして、定義とセットで覚えたいのが調整表(reconciliation)だ。
IFRSに基づく利益と会社独自の利益が、どうつながっているか。その差額の内訳を示す。
費用を除外するなら足し戻し、利益を除外するなら差し引く
例えば、会社がリストラクチャリング費用と設備売却益を除外した「調整後営業利益」を公表しているとする。
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 営業利益/Operating profit | 200 |
| リストラクチャリング費用の足し戻し/Add back | +40 |
| 設備売却益の控除/Deduct | −10 |
| 調整後営業利益/Adjusted operating profit | 230 |
費用40は、すでに営業利益を減らしている。それを除外するので足し戻す。
一方、売却益10は、すでに営業利益を増やしている。それを除外するので差し引く。
「除外する」という言葉だけで、どちらもマイナスにしないように注意したい。
Adjusted operating profit is calculated by adding back restructuring expenses and deducting the gain on disposal.
調整後営業利益は、リストラクチャリング費用を足し戻し、売却益を差し引いて計算する。
これはMPMを説明するための調整であり、元の財務諸表から費用や売却益を消す仕訳ではない。
また、除外する項目は会社の指標の定義に従う。「一時的な項目だから、何でも除外してよい」というルールではない。
調整表に加えて、何を開示する?
実際の注記では、最も直接比較できるIFRS上の小計・合計との調整に加え、次の情報も必要になる。
- 指標の計算方法と、経営者が有用と考える理由
- 各調整項目の税金への影響(tax effects)
- 各調整項目の非支配持分への影響(NCI effects)
- 計算方法などを変更した場合、その内容や理由
必要な情報は単一の注記にまとめる。上の表は考え方を示す簡略例であり、それだけで開示が完成するわけではない。IFRS Foundation:MPM解説資料
2.「投資家に役立つ」の先まで書く
MPMは、すでにSBRで出題されている。
2025年9月・12月の試験官報告では、MPMへの該当性、必要な開示、投資家への有用性を問う設問が、7点+プロフェッショナルスキル2点だった。優先して準備したい論点だ。ACCA試験官報告・Question 4(c)
私自身、SBRの振り返りでは、「結論や理由は書いたけれど、その先の説明が広がらない」という点が気になった。会計処理を知っていることと、discussionで説明を広げることは、少し違う。
MPMでも、「透明性が高まる」「投資家に有用」で止まらず、何が分かるようになるのかまで書きたい。
先ほどの例なら、次のように考える。
- 利益が200から230になった理由は、費用と売却益の除外だと分かる
- 除外された費用が、本当に一時的かを検討できる
- 毎年似た費用を除外しているなら、調整後利益を慎重に評価できる
英文なら、この程度でも具体性が出る。
The reconciliation helps investors assess whether the excluded restructuring costs are likely to recur.
調整表により、投資家は除外されたリストラクチャリング費用が再び発生する可能性を評価できる。
「何を除外したか→それを見て投資家が何を判断できるか」とつなげると、一般論から一歩進める。
3.損益は、Operating・Investing・Financingまで考える
もう一つ、今後のSBRで習慣にしたいのが、表示区分(presentation category)の確認だ。
「損益に計上する」と判断したら、その先のOperating・Investing・Financingまで考えたい。
通常の製造会社なら、例えば次のようになる。
| 項目 | 原則的な表示区分 |
|---|---|
| 使用していた製造設備の売却益 | Operating:営業 |
| 余剰資金の銀行預金から得た受取利息 | Investing:投資 |
| 借入金について損益に認識する利息費用 | Financing:財務 |
一度きりの売却益だからInvesting、とはならない。また、投資や顧客への融資を主な事業とする会社には特則があるので、会社の事業内容も確認する。ACCA公式解説
答案では、単に “recognised in profit or loss” と書くところから、少し踏み込む。
The gain on disposal of the production equipment is recognised in the operating category of profit or loss.
製造設備の売却益は、損益の営業区分に認識する。
表示の説明が必要な設問では、この一言が加点につながりうる。実際の試験官報告でも、損益計算書のどの区分に影響するかを説明した答案が評価されている。ACCA試験官報告・Question 3
SBRは本来の満点より多くの点数が用意されているので、その加点要素をつかむ意味でも表示区分の一言を述べたい。
普段の問題演習でも、「いくら認識するか」に加えて「どこに表示するか」を確認することをおすすめする。計算だけを求められた設問に説明を増やす必要はないが、表示区分まで考える習慣はつけておきたい。


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