【SBLワンポイント】Change management:変革をどう進めるか、リーダーシップをどう選ぶか

ACCA

「新しいシステムを導入したい。でも従業員が反対している」「経営陣は改革を急いでいるが、現場がついてこない」「経営陣は旧態依然としていて組織の変革の仕方がわからない」。

こんな状況が出たら、Change management(変革管理)を思い出そう。

考えるのは、その会社で変革を実現するには、誰に、どのように働きかければよいか。リーダーシップスタイルも、ここで使える。

どんな設問で使う?

まずは、設問が何を求めているかを確認する。以下は、問われ方を理解するために作成した設問例だ。

設問例答案で考えたいこと
Recommend an appropriate leadership style to manage the proposed change./変革を進めるために適切なリーダーシップスタイルを提案せよ。説明して納得してもらうか、参加してもらうか、経営陣が指示するか。会社の状況から選ぶ。
Explain why employees may resist the change and recommend actions to overcome this resistance./従業員が変革に抵抗する理由と、その対策を説明せよ。失職への不安、スキル不足、権限を失う懸念などを拾い、それぞれに対策をつける。
Assess the contextual features which may affect the implementation of the change./変革の実行に影響する組織の状況を評価せよ。時間、資金、人材の能力、変革への準備状況などが、実行を助けるか妨げるかを考える。

リーダーシップ、抵抗への対策、会社の状況。この3つは関連するが、答案で中心に置くものは異なる。

リーダーシップスタイルは、この5つ

変革を進める際の整理として、Johnson, Scholes and Whittingtonの5つのスタイルを押さえておくと使いやすい。ACCAの教材でも扱われている。ACCA公式研修資料

スタイル問題文からの連想と、具体的な使い方
Education and communication/教育・説明変革の目的が伝わっていない。説明会や質疑応答を通じて、必要性と従業員への影響を伝える。
Collaboration or participation/協働・参加現場の経験が重要で、話し合う時間もある。従業員に新しい業務手順の設計や試験導入へ参加してもらう。
Intervention/介入経営陣が方向性と進行を管理しながら、具体的な改善をチームに任せたい。変革責任者が各部署の実行を支える。
Direction/指示期限が厳しく、方針を早く統一する必要がある。経営陣が目標、担当者、期限を明確に示す。
Coercion/強制危機的な状況で、即時の対応が必要。権限を使って変更を実施するが、反発や信頼低下のリスクが大きい。

「説明 → 参加 → 介入 → 指示 → 強制」の流れで覚えたい。

大まかに、従業員の理解や参加を重視する方法から、経営側が強く主導する方法へ並んでいる。ただし、必ずしもこの順番で実施するという意味ではない。

Directionは「経営陣が方針を決めて導く」、Coercionは「従わせる」という違いで捉えると分かりやすい。

「民主的なリーダーがよい」で終わらせない

例えば、新しい在庫管理システムを導入する会社を考える。

倉庫の従業員は現場の作業をよく知っている。導入まで半年あるなら、従業員に設計や試験運用へ参加してもらう方法が考えられる。

A participative approach would allow warehouse staff to identify practical problems before the system is introduced.

参加型の進め方により、導入前に現場の実務上の問題を見つけられる。

一方、現行システムのサポートが1か月後に終了するなら、全員の合意を待つ時間は限られる。経営陣が移行期限と役割を明確にし、並行して説明や研修を行う方法が考えられる。

A directive approach would help meet the deadline, supported by clear communication and training.

指示型の進め方で期限に対応しつつ、説明と研修で実行を支える。

どちらも、スタイル名だけでなく「この会社に適している理由」まで書くことが重要だ。相手や段階に応じて、複数の方法を組み合わせてもよい。

抵抗への対策は、原因とセットで書く

「コミュニケーションを改善する」「研修する」だけでは、どの会社にも当てはまる答案になってしまう。

問題文の不安や不満と、対策を結びつけよう。

  • システムを使えるか不安 → 実際の業務を使った研修と、導入後の相談窓口を設ける。
  • 自動化で仕事を失うと考えている → 雇用への影響と、再配置・再訓練の方針を具体的に説明する。
  • 現場の意見が無視されている → 現場の代表者を導入チームに入れ、手順の改善に参加してもらう。

例えば、次のように書ける。

Staff lack experience with the new system. Practical training would build their confidence and reduce processing errors.

新システムの経験がないという事実に、研修という対策と、自信の向上・入力ミスの減少という効果をつなげている。

なお、人員削減が予定されている会社で「失職の心配はないと伝える」と書くのは不適切だ。対策は、問題文の事実と整合させる。

Changeと出たら、何でもLewinではない

Lewinの「Unfreeze → Change → Refreeze」は、変革の準備、実行、定着という流れを整理するモデルだ。新しいシステムの導入なら、次のように整理できる。

段階考えること答案に使える具体例
Unfreeze/解凍今のやり方を変える必要性を理解してもらい、変革への準備を整える。現行システムの入力ミスや二重作業を示し、導入の目的を説明する。従業員の不安も聞き取る。/Explain the need for change and address employees’ concerns.
Change/変革新しい仕組みを実際に導入し、従業員が対応できるよう支える。一部の部署で試験導入し、実務研修と相談窓口を設ける。/Pilot the new system and provide practical training.
Refreeze/再凍結新しいやり方を通常業務として定着させ、以前のやり方に戻るのを防ぐ。業務マニュアルや評価指標を更新し、利用状況とエラー率を確認する。/Update procedures and monitor adoption of the new system.

特に忘れやすいのがRefreezeだ。「導入して終わり」にせず、新しい働き方が定着するところまで考えよう。再凍結は、今後一切変更しないという意味ではない。

ただし、会社の状況を評価する設問や、リーダーシップスタイルを選ぶ設問に、そのまま当てはめる必要はない。

実際に、2025年3月・6月のSBL試験官レポートでは、contextual featuresが問われているのに、Lewinの変革プロセスを説明してしまった答案が指摘されている。ACCA試験官レポート

試験では、まず「何を聞かれているか」を確認する。そして、問題文の事実 → 適切な対応 → その会社で期待できる効果、の順番で書くことをおすすめする。

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