【Conceptual Framework 解説】第1回 Conceptual Frameworkとは? IFRSを支える基本の考え方

IFRS解説

Conceptual Framework for Financial Reportingは、日本語では「財務報告に関する概念フレームワーク」という。

財務報告の目的や、資産・負債の定義、役に立つ財務情報の条件などを整理した、IFRSの土台となる考え方だ。

IFRS 16がリース、IFRS 15が収益といった個別のテーマを扱うのに対し、Conceptual Frameworkは、それらに共通する基本的な考え方を扱う。

何のためにある?

主な役割は3つ。

誰が使うかどのように役立つか
基準を作るIASB一貫した考え方に基づいて、会計基準を作る。
財務諸表を作る企業直接適用できる基準がない取引について、会計方針を考える手掛かりにする。
財務諸表を読む人個々の基準が、なぜそのような処理を求めるのかを理解する。

現在の基本となっているのは、2018年に改訂されたConceptual Frameworkだ。IFRS財団:Conceptual Frameworkの概要

ただし、Conceptual Framework自体は会計基準ではない。個別の基準に定めがある場合、その要求事項を優先する。

「この処理の方がフレームワークに合うと思う」という理由で、IFRSの規定を無視できるわけではない。

財務報告は、誰の何の判断に役立つものか

一般目的財務報告の主な利用者は、現在および将来の投資家、融資者、その他の債権者だ。

例えば、次のような判断に使われる。

  • この会社の株式を買うか、保有し続けるか。
  • この会社にお金を貸すか。
  • 経営陣は、任された資金や設備を適切に使っているか。

利益の金額だけでなく、将来の資金獲得能力や、経営陣による資源の管理を評価する情報も必要になる。

この「任された資源を経営陣がどう管理したか」という視点を、Stewardshipという。

役に立つ情報の条件は、まず2つ

基本的な質的特性意味
Relevance/目的適合性利用者の判断に違いをもたらし得る情報であること。
Faithful representation/忠実な表現表そうとする経済的な事象を、完全・中立的で、誤りのない形で表すこと。

例えば、経営陣が都合のよい売上だけを示し、大きな損失を隠していたら、会社の実態を忠実に伝えているとはいえない。

反対に、数字が正確でも、判断に関係のない細かな情報ばかりでは使いにくい。

なお、「誤りがない」は、将来の見積額が必ず的中するという意味ではない。見積りの方法や前提、不確実性を適切に説明することも重要だ。ACCA:財務情報の質的特性

情報をさらに使いやすくする4つの性質

補強的な質的特性身近なイメージ
Comparability/比較可能性前年や他社と比べ、共通点や違いが分かる。
Verifiability/検証可能性知識のある独立した人が確認し、おおむね合意できる。
Timeliness/適時性意思決定に間に合う時期に届く。
Understandability/理解可能性分類や説明が明確で、読み手が理解しやすい。

例えば、正しい決算情報でも、投資判断が終わってから届いたのでは役立ちにくい。これが適時性の問題だ。

ただし、分かりやすくするために複雑な取引を丸ごと省略してよいわけではない。

慎重さは「利益を小さくすること」ではない

Prudenceは、不確実な状況で判断するときの慎重さをいう。

売上や資産を楽観的に見積もるのは問題だが、反対に、利益を意図的に小さくすることも中立的ではない。

例えば、機械の耐用年数について合理的な見積りが5年なら、利益を減らしたいという理由で2年にすることは、慎重な会計処理とはいえない。

Conceptual Frameworkを読むときは、「投資家などの判断に役立つか」「会社の実態を偏りなく表しているか」という2つの視点を持つと、個別のルールも理解しやすくなる。

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