ACCAの取得には、どれくらい時間がかかるのか。
これは、英語力と勉強に使える時間でかなり変わる。特に、英語で答案を書くことに慣れているかどうかは大きい。
ただ、今の英語力だけで「自分には何年もかかる」と決めつける必要はない。勉強して受験を重ねるうちに、会計英語や答案の書き方にも慣れていく。
今回は、学生・社会人それぞれの期間の目安と、USCPAとの違いを整理してみたい。
試験合格と、ACCA Memberになることは別
まず、ACCAは試験に合格しただけで正会員〈Member〉になるわけではない。
現行制度では、試験・倫理モジュールに加えて、36か月の関連実務経験などの要件を満たす必要がある。
この経験は、勉強と並行して積める。登録前の経験も、条件を満たせば認められる。ACCA公式:実務経験の要件
そのため、期間は次の2つに分けて考えたい。
- 全科目合格まで:試験を終えるまでの期間。
- Memberになるまで:実務経験なども含め、すべての要件を満たすまでの期間。
ACCA公式では、働きながら勉強すれば、3〜4年で会員資格を取得できると案内している。ただし、全員がこの期間で終わるという意味ではない。ACCA公式:資格取得までの流れ
英語力と働き方で、どれくらい変わる?
ここでは、英語の教材や設問をおおむねそのまま理解し、短い英文で説明できる人を「英語強者」とする。一方、翻訳を使うことが多く、英文の答案を作るのにも時間がかかる人を「英語弱者」とする。
以下は、現行13科目を免除なしで受ける場合の計画例だ。年間の合格科目数を仮に置いた試算になる。
| 生活スタイル | 週の学習時間の想定 | 英語強者の計画例 | 英語弱者の計画例 |
|---|---|---|---|
| 学生〈時間を確保できる〉 | 20〜30時間 | 年5〜6科目:約2〜3年 | 年3〜4科目:約3〜5年 |
| 社会人〈普通〉 | 10〜15時間 | 年3〜4科目:約3〜5年 | 年2〜3科目:約4〜7年 |
| 社会人〈多忙〉 | 5〜8時間 | 年2科目:約6〜7年 | 年1〜2科目:約7〜13年 |
この合格ペースは、会計知識、再受験、学習の中断などでも変わる。
特に、多忙な人の期間は長く見えると思う。
ただ、これは「英語が苦手なら13年かかる」という意味ではない。年1科目のペースを続ければ、単純計算でそれだけかかるということだ。英語に慣れたり、仕事が落ち着いた時期に進めたりすれば、途中からペースを上げられる。
なお、2027年からACCAは新制度へ移行する。これから始める人は移行後の制度も関係するため、この表は現行制度の負担感をつかむ参考として見てほしい。ACCA公式:新制度への移行
英語が苦手だと、記述科目に時間がかかる
英語が苦手な場合、特に時間を見ておきたいのは、AAA・SBL・SBR・APM、それからAAだ。
AAAやAAでは、監査上の問題や必要な手続を、ケースに合わせて説明する。SBLでは会社の状況を読み、提案や評価を書く。SBRでは会計処理の理由、APMでは業績管理の仕組みや指標を評価する。
知識があっても、それを英文にするところで手が止まることがある。
AAも、基礎・中級段階の科目だからといって、選択問題だけで進められるわけではない。現行試験では、70点分が記述・構造化された答案を作る問題になっている。ACCA公式:AAの試験構成
私なら、このあたりは「内容を理解する時間」とは別に、時間内に英文の答案を書く練習を多分に確保する。
難しい単語や立派な表現を増やすより、短い文で「何が問題か」「なぜか」「どうするか」を伝えられるようにしたい。
選択科目は、計算の得意さを生かす方法もある
記述への苦手意識が強く、計算が得意なら、AFMやATXを選択肢に入れるのも一つの方法だと思う。
AFMなら財務計算、ATXなら税務計算や税制の知識を生かせる。ただし、どちらも「計算だけで合格できる科目」ではない。
AFMでは計算結果の評価や助言が必要になる。ATXでも、税務上の扱いや選択肢を文章で説明する力が求められる。特にATXは、学ぶ税制の範囲も考えて選びたい。ACCA公式:選択科目の紹介、ATXの答案作成ガイド
ただし、AAとSBL、SBRは現行制度の必須科目なので、選択科目を工夫しても、記述対策そのものは必要になる。
「1科目100時間」は、どう考える?
学習時間を考えるとき、1科目100時間というACCA学習者に有名な目安がある。
ただ、これは英語が母語である場合だ。また、英語が母語でも、会計知識や科目への慣れで必要な時間は変わる。
時間は最初の計画を作るために使い、途中で修正するほうがよいと思う。
「100時間勉強したから受験する」ではなく、問題を解いて、合格に必要な答案を書けるかを確かめたい。
実務経験が必要なので、無理に急がなくてもよい
私は、全員が最短合格を目指す必要はないと思っている。
実務経験がまだない人は、試験だけを急いでも、すぐMemberになれるわけではない。3年の実務経験が最低限必要だ。これに合わせる形で、関連する仕事で経験を積みながら、3〜4年かけて試験を進める方法もある。
もちろん、試験合格を先に終えておく利点もあるし、長期化すれば年会費も増える。すでに実務経験の要件を満たしている人なら、早く試験を終える意味は大きい。
それでも、仕事や生活を崩してまで受験を詰め込むより、自分の実務経験と試験の進み具合を合わせて考えるほうがよいと思う。
なお、現行制度では、最初のStrategic Professional科目に合格してから残りの試験を終えるまで7年の期限がある。上級科目に進んだら、この期限も確認しておきたい。ACCA公式:取得期間と期限
英語が苦手なら、USCPAという選択肢もある
英語の記述が大きな負担なら、USCPAを検討するのも十分ありだと思う。
USCPAは4科目で、現在の試験は選択式問題とタスク型シミュレーションで構成される。ACCA上級科目のような長い英文答案を書く負担を避けたい人には、取り組みやすく感じられる可能性がある。AICPA:CPA試験の内容
ただし、USCPAも英語の資料を読んで判断する必要がある。選択問題が多いから、英語力が不要ということではない。
| 比較点 | ACCA〈現行制度〉 | USCPA |
|---|---|---|
| 科目数 | 最大13科目。免除制度あり | 4科目 |
| 英語負担 | 読解に加え、上級科目では記述が重要 | 読解と、選択式・シミュレーションへの対応が重要 |
| 会計基準 | FR・SBRなどでIFRSを学ぶ | 米国会計基準を学ぶ |
| 資格取得まで | 試験・倫理・36か月の関連実務経験など | 州ごとの学歴・試験・実務経験など |
期間の参考として、アビタスは週15〜20時間の学習を続ければ、約1年半でUSCPA全科目合格が可能という計画を示している。アビタス:学習プラン
免除なしのACCAと、受験資格を満たした状態のUSCPAなら、試験合格までの計画はUSCPAのほうが短くなりやすいだろう。
ただし、USCPAでは不足単位の取得やライセンス要件の充足に、別の時間がかかる場合がある。ACCAのMember取得と、USCPAの試験合格だけを単純比較することはできない。
それでも、私が一番おすすめしたいのはACCA
英語の記述があり、科目数も多い。それでも、私としてはACCAを一番おすすめしたい。
最大の魅力は、IFRSを学び、それを英語で説明できることだ。
ACCA全体がIFRSだけの資格というわけではない。監査、税務、財務、経営なども学ぶ。MBAで使うような論点も多分に含む。
日本では、会計基準にIFRSを導入する企業が増えている。このトレンドに乗って、ACCAの需要も増えていくはずだ。
英語力は受験開始時のままではない。
教材を読み、問題を解き、答案を書き直すことを続ければ、会計英語や説明の型に少しずつ慣れていける。最初は一文書くのに時間がかかっても、その負担がずっと同じとは限らない。
英語弱者でも、今の英語力だけで諦めず、まず1科目に取り組んでみる。そのうえで、自分に合う教材や先生を見つけ、無理なく続けられるペースを作っていきたい。


コメント