資産や負債の定義に当てはまるものを見つけた。
それで会計処理が終わるわけではない。次に、財務諸表へ載せるか、いくらで載せるか、どのように説明するかを考える。
ここでは、Recognition、Measurement、Presentation and disclosureを分けて理解しよう。
前回の記事はこちら。
認識・測定・表示・開示の違い
| 用語 | 考えること |
|---|---|
| Recognition/認識 | 資産・負債などとして、財務諸表に金額を取り込むか。 |
| Measurement/測定 | いくらで計上するか。 |
| Presentation/表示 | 財務諸表のどこに、どのように分類して示すか。 |
| Disclosure/開示 | 注記などで、どのような情報を伝えるか。 |
例えば、「負債を計上するか」と「負債を100万円にするか、120万円にするか」は別の判断だ。
また、貸借対照表に金額を計上しない項目でも、注記で説明すべき場合がある。
定義に当てはまれば、必ず認識する?
Conceptual Frameworkでは、資産・負債の認識によって、目的適合性があり、忠実に表現された情報を提供できるかを考える。情報を提供するコストに見合う便益があるかも関係する。
存在や金額の不確実性が高い場合には、認識によってどの程度有用な情報を提供できるか、慎重な検討が必要になる。
ただし、「見積りだから計上できない」という意味ではない。合理的な見積りは、会計のさまざまな場面で使われている。Conceptual Framework:認識に関する説明
実際の処理では、適用される個別基準を確認する。例えば、引当金にはIAS 37の認識要件がある。フレームワークの一般的な説明だけで、個別基準の条件を置き換えないようにしたい。
測定は「購入価格か、今の価値か」
Conceptual Frameworkでは、Historical cost(歴史的原価)とCurrent value(現在価値に基づく測定)の考え方を整理している。
ここでいうCurrent valueは、割引計算で使うPresent valueと同じ言葉ではない。現在の条件を反映する測定の総称として使われる。
| 測定の考え方 | 平易にいうと |
|---|---|
| Historical cost/歴史的原価 | 取得・発生時の金額を出発点に、減価償却や減損などを反映する。 |
| Fair value/公正価値 | 現在、市場参加者間の通常の取引で、資産を売却するときに受け取る価格、または負債を移転するときに支払う価格。 |
| Value in use/使用価値 | その企業が資産を使い、最終的に処分することで得ると見込むキャッシュフローの現在価値。負債にはFulfilment value(履行価値)という考え方がある。 |
| Current cost/現在原価 | 現在、同等の資産を取得する場合のコストなどを基にする。 |
公正価値、使用価値・履行価値、現在原価は、Current valueに含まれる測定の考え方だ。ACCA:測定の考え方
同じ機械でも、聞いていることが違う
例えば、2年前に100万円で買った機械を考える。
- 取得した金額を基に、使った分を差し引くなら、原価を出発点にした測定になる。
- 今、市場で売ったらいくらになるかを考えるなら、公正価値の視点になる。
- 自社で使い続けて、将来どれだけ資金を生むかを考えるなら、使用価値の視点になる。
- 同等の機械を今買うといくら必要かを考えるなら、現在原価の視点になる。
同じ機械でも、答えようとしている問いが異なる。
だからといって、企業が好きな金額を選んでよいわけではない。個別基準が求める、または認める測定方法に従う必要がある。
認識中止は、帳簿から取り除くこと
Derecognition(認識中止)は、認識していた資産や負債の全部または一部を、財政状態計算書から取り除くことだ。
例えば、機械を売却して支配を失った場合や、借入金を返済して義務がなくなった場合が考えられる。
減価償却は、資産を使う期間にわたって金額を配分する処理なので、認識中止とは異なる。
注記は、数字の読み方を伝える
貸借対照表に「引当金120万円」とあっても、その金額だけでは分からないことがある。
何の義務なのか。いつ支払うのか。どのような前提で見積もったのか。
こうした説明があることで、利用者は数字の意味や不確実性を理解できる。
Conceptual Frameworkは、認識や測定だけでなく、表示・開示の考え方も扱っている。IFRS財団:フレームワークが扱う範囲
会計処理を学ぶときは、「載せるか」「いくらか」「どこに示すか」「何を説明するか」と分けると、複雑なルールも整理しやすくなる。


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