【Conceptual Framework 解説】第3回 何を、いくらで載せる? 認識・測定・開示の考え方

IFRS解説

資産や負債の定義に当てはまるものを見つけた。

それで会計処理が終わるわけではない。次に、財務諸表へ載せるか、いくらで載せるか、どのように説明するかを考える。

ここでは、Recognition、Measurement、Presentation and disclosureを分けて理解しよう。

前回の記事はこちら。

認識・測定・表示・開示の違い

用語考えること
Recognition/認識資産・負債などとして、財務諸表に金額を取り込むか。
Measurement/測定いくらで計上するか。
Presentation/表示財務諸表のどこに、どのように分類して示すか。
Disclosure/開示注記などで、どのような情報を伝えるか。

例えば、「負債を計上するか」と「負債を100万円にするか、120万円にするか」は別の判断だ。

また、貸借対照表に金額を計上しない項目でも、注記で説明すべき場合がある。

定義に当てはまれば、必ず認識する?

Conceptual Frameworkでは、資産・負債の認識によって、目的適合性があり、忠実に表現された情報を提供できるかを考える。情報を提供するコストに見合う便益があるかも関係する。

存在や金額の不確実性が高い場合には、認識によってどの程度有用な情報を提供できるか、慎重な検討が必要になる。

ただし、「見積りだから計上できない」という意味ではない。合理的な見積りは、会計のさまざまな場面で使われている。Conceptual Framework:認識に関する説明

実際の処理では、適用される個別基準を確認する。例えば、引当金にはIAS 37の認識要件がある。フレームワークの一般的な説明だけで、個別基準の条件を置き換えないようにしたい。

測定は「購入価格か、今の価値か」

Conceptual Frameworkでは、Historical cost(歴史的原価)とCurrent value(現在価値に基づく測定)の考え方を整理している。

ここでいうCurrent valueは、割引計算で使うPresent valueと同じ言葉ではない。現在の条件を反映する測定の総称として使われる。

測定の考え方平易にいうと
Historical cost/歴史的原価取得・発生時の金額を出発点に、減価償却や減損などを反映する。
Fair value/公正価値現在、市場参加者間の通常の取引で、資産を売却するときに受け取る価格、または負債を移転するときに支払う価格。
Value in use/使用価値その企業が資産を使い、最終的に処分することで得ると見込むキャッシュフローの現在価値。負債にはFulfilment value(履行価値)という考え方がある。
Current cost/現在原価現在、同等の資産を取得する場合のコストなどを基にする。

公正価値、使用価値・履行価値、現在原価は、Current valueに含まれる測定の考え方だ。ACCA:測定の考え方

同じ機械でも、聞いていることが違う

例えば、2年前に100万円で買った機械を考える。

  • 取得した金額を基に、使った分を差し引くなら、原価を出発点にした測定になる。
  • 今、市場で売ったらいくらになるかを考えるなら、公正価値の視点になる。
  • 自社で使い続けて、将来どれだけ資金を生むかを考えるなら、使用価値の視点になる。
  • 同等の機械を今買うといくら必要かを考えるなら、現在原価の視点になる。

同じ機械でも、答えようとしている問いが異なる。

だからといって、企業が好きな金額を選んでよいわけではない。個別基準が求める、または認める測定方法に従う必要がある。

認識中止は、帳簿から取り除くこと

Derecognition(認識中止)は、認識していた資産や負債の全部または一部を、財政状態計算書から取り除くことだ。

例えば、機械を売却して支配を失った場合や、借入金を返済して義務がなくなった場合が考えられる。

減価償却は、資産を使う期間にわたって金額を配分する処理なので、認識中止とは異なる。

注記は、数字の読み方を伝える

貸借対照表に「引当金120万円」とあっても、その金額だけでは分からないことがある。

何の義務なのか。いつ支払うのか。どのような前提で見積もったのか。

こうした説明があることで、利用者は数字の意味や不確実性を理解できる。

Conceptual Frameworkは、認識や測定だけでなく、表示・開示の考え方も扱っている。IFRS財団:フレームワークが扱う範囲

会計処理を学ぶときは、「載せるか」「いくらか」「どこに示すか」「何を説明するか」と分けると、複雑なルールも整理しやすくなる。

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